プレキャスト桁架設工法

クレーン架設工法

小坂井高架橋(愛知県)  
発注者:国土交通省 中部地方整備局

 この工法は、運搬されてきたPC桁を、橋台背面、または架設地点の桁下に据え付けた自走式クレーン車で吊り上げて架設する工法です。使用機種は、吊り能力196~4900kNの範囲の機種が使用されており、油圧式トラッククレーン、機械式トラッククレーンおよびクローラクレーンを、それぞれの条件に応じて使い分けています。
 架設方法には、1台のクレーンによる単吊り架設と2台のクレーンを用いる相吊り架設があります。
 本工法は、架設地点に自走式クレーン車が自由に進入でき、かつPC桁の搬入が可能な場合に採用される架設工法で、省力工法であり架設速度が速いのが特長です。

架設桁架設工法

市ノ瀬橋(和歌山県)
発注者:和歌山県 上富田町

 最も標準的な架設工法であり、種々の現場条件に適合する工法です。本工法は、架設径間に予め架設桁を据え付けておき、引出し軌道でPC桁製作ヤードからPC桁を引き出し、架設桁を支持桁として架設する工法です。架設桁設備としては、一組桁設備と二組桁設備とがあり、PC桁の重量により使い分けています。
 本工法の特徴としては、河川上、道路上、鉄道上での架設を初め、桁下の地形、地盤条件等の制約を受けず、側道、工事用道路がなくても施工できますが、準備作業を含めた架設速度が比較的遅い工法です。

門型クレーン架設工法

橋本高架橋(和歌山県)
発注者:国土交通省 近畿地方整備局

 この架設工法は、架設径間の橋体を跨いだ形で2基の門型架設機を設置し、PC桁をその内側に敷設された軌道上を引き出すか、トレーラーにより運搬し、門型架設機の巻上げ機により吊り上げ、横桁装置によって所定の位置に据え付ける方法です。この門型架設機には定置式と自走式の2種類がありますが、自走式は大規模工事に適しています。
 本工法は、PC桁の製作ヤードが高架下にあって、かつ狭いためにPC桁のストックができない場合に有利な架設工法です。

場所打ち桁

張出し架設工法

飯井第1橋(山口県)
発注者:国土交通省 中国地方整備局

 張出し(片持)架設工法は、地上から支える支保工なしに、一般に橋脚から左右にバランスをとりながら、移動作業車または移動式架設桁を用いて、支間中央に向かって適当な長さのブロックに区切りコンクリートを打ち継ぎながら、順次張り出していく工法です。
 この工法は、長大スパンのPC橋の架設を可能にし、我が国には1958年に技術導入されて以来多数の施工実績があり、その長大支間長を延ばしてきました。

押出し架設工法

江戸川橋りょう(東京都)
発注者:日本鉄道建設公団 関東支社

 押出し架設工法は、橋台または第1橋脚の後方に橋桁の製作ヤードを設け、このヤードで8~20m程度の大型ブロックを製作し、プレストレスを導入後前方に押し出して、空いたヤードで新しいブロックを打ち継ぎPC鋼材で接合しながら、順次PC桁を前方に押し出して架設する工法です。
 我が国では、1973年より採用され、道路、鉄道を跨ぐ高架橋、桁下の地形条件等の制約によって他の工法が適用され難い中規模径間の橋梁に適用されています。適用支間長としては、30~60m程度が適当とされています。

移動支保工架設工法

第1乙茂内BL他3CP製架他工事(岩手県)
発注者:日本鉄道建設公団

 移動支保工式架設工法は、従来の固定式支保工と異なり、支保工を解体することなく、次の径間に移動させていくもので、この工法では、大型移動支保工式(下支え式・吊り下げ式)と接地式とに大別されます。
 大型移動支保工式は、高度に機械化された大型の移動支保工設備を用いて、1径間の型枠、支保工の組立て、コンクリート打設、プレストレッシング、型枠の脱型、型枠・支保工の移動という繰返し作業を機械的、かつ連続的に行っていく工法で、急速施工、省力化を可能にしました。
 本工法が我が国でPC橋の架設に本格的に採用されるようになったのは1973年からで、大規模な多径間橋梁や都市内高架橋の架設に適しており、適用支間長は25~40m程度が適当とされています。