アーチ橋

 アーチは合理的でかつ景観性に優れた構造形式です。主断面力が圧縮力であるため圧縮力に強いコンクリートの特性を有効に利用している点が特徴です。主げたの軽量化を図るため、鋼げたを使用した複合アーチ橋の実績もあります。
 現在アーチ橋の架設は、架設工法の著しい技術進歩により、全面支保工を必要としない工法が主流となってきています。

西風新都中央道路1号橋梁(広島県)
発注者:西広島開発株式会社

安威川ダム5号橋(大阪府)
発注者:大阪府 安威川ダム建設事務所

斜張橋

大芝大橋(広島県)
発注者:広島県呉農林事務所

 PC斜張橋は、国内ではおよそ120橋の実績があります。初期の適用支間が50~100mであったのに比べ、最近では200mを超えるものが計画・架設されるようになっています。
プレキャストセグメント箱げたのPC斜張橋も品質の向上・施工の合理化を目的に実施されるようになってきています。

エクストラドーズド橋

中の池橋(大阪府)
発注者:大阪府道路公社 南阪奈有料道路建設事務所

 エクストラドーズド橋は斜張橋とけた橋の間を補う新しい構造形式であり、国内では1994年に初めて採用されて以来、これまでにおよそ30橋の実績があります。その特徴は斜張橋と比較して、一般的に低い塔と斜材で形成されたプロポーションを持ち、活荷重に対して主げたが抵抗する割合が高いため、斜材の応力変動が小さくなります。
 プレキャストセグメントや波形鋼板ウェブを採用したエクストラドーズド橋も品質の向上・施工の合理化を目的に実施されるようになってきています。

フィンバック橋

姫川橋りょう(新潟県)
発注者:(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道建設本部 北陸新幹線第二建設局

 PCフィンバック橋は、箱桁上に設けた翼壁にPC鋼材を配置した構造です。橋桁に作用する断面力に対して、翼壁内にPC鋼材を配置し偏心を大きくできるため、合理的な配置構造となっています。そのため、けたの高さを抑えることが可能です。国内では、鉄道橋に実績が多いです。

吊り床版橋

パーク橋発 (大分県)
発注者:大分県

 吊り床版橋は橋台間に緊張材(ケーブル)を並列配置し、これらをコンクリート床版で包み込んで床構造を形成した橋です。構造形式としては、鋼製吊橋の主ケーブル、塔、補剛げた、床組を一つの要素で置き換えたもので、その構造特性も鋼製吊橋と類似点が多いです。国内では、70橋以上の実績があり、歩道橋が多いです。

複合橋

混合桁橋

美濃関ジャンクション橋(岐阜県)
発注者:日本道路公団 中部支社

 混合桁橋は、PCげたと鋼げたとを橋軸方向に接合部を介して直接接合した構造の橋りょうです。一般に、標準支間部や柱頭部付近をPCげたとし、長支間部を鋼げたとすることで構造性の向上を図っています。連続構造に採用により長支間部中央の曲げモーメントが改善され、桁下クリアランスに対する適応性が向上し、アンバランスな支間割への対応が可能です。

波形鋼板ウェブ橋

瀬戸石橋(大分県)
発注者:西日本高速道路株式会社

 波形鋼板ウェブ橋は、波形鋼板ウェブのアコーディオン効果により鋼板ウェブ部の軸方向剛性を非常に小さくし、プレストレス導入力を有効に上下床版に伝えることができるとともに、波形にすることにより高いせん断座屈耐力を有し、補剛材を省略することを可能にしたものです。架設方法も片持架設や押出し架設など適用範囲は広く、接合方法は我が国独自の工法も開発され、力学特性の改良が進められています。最近では斜張橋やエクストラドーズド橋にも採用されています。

新構造形式橋梁

Uコンポ橋

兵道高架橋(茨城県)
発注者:日本道路公団 東京建設局

 Uコンポ橋は、主げた断面形状をU形とした工場製作によるプレキャストセグメントげたと床版部にプレキャストPC板を採用した合成床版構造の橋りょうです。工場製作による高品質なプレキャスト部材に加え、内外併用のPCケーブル配置によりPC連続構造に対応できるとともに施工の省力化、コスト縮減に配慮された橋りょう形式となっています。本構造のスパンは40~60mであり、従来のプレキャストげたと比べ長支間化に対応しています。

ストラット付き箱桁橋

宍原第二高架橋(静岡県)
発注者:中日本高速道路株式会社

 ストラット付き床版箱げた橋は、片持床版の先端付近をストラットで支持することにより、片持床版長を広く設定した一室箱げた断面形状を有するPC箱げた橋です。この構造のメリットとしては、多室または多主箱げた橋と比較して、箱げた部の床版支間の縮小に伴って上床版厚を薄く設定でき、下床版幅も小さくなるため、主げた自重の軽量化が図れます。また、箱げた幅の縮小に伴って橋脚断面を小さく設定できるため、基礎構造の規模縮小が図れます。
 ストラット材料にはコンクリート製および鋼管製の実績があり、鋼管内にコンクリートを充填した事例もあります。

リブ付き床版箱桁橋

赤淵川橋(静岡県)
発注者:中日本高速道路株式会社

 一般的な箱げた橋の床版は、ウェブで支持された連続版であり、床版応力を主として橋軸直角方向で負担する構造です。これに対してリブ付き床版箱げた橋は、上床版を補強する橋軸直角方向のリブを橋軸方向に等間隔で配置することにより、荷重による床版応力を橋軸方向と直角方向の2方向で分担する構造であり、床版支間を広く、また床版厚を薄く設定できる特徴を有しています。